あのとき、そしていま

 あの時に戻ってみたいと思うことはありませんか。

 未来の自分や世界がどうなっているかも見てみたいですね。ドラえもんや映画バック・トゥ・ザ・フューチャのようなタイムマシンがあればいいのに、と時々思うのは私だけでしょうか。

 今までの出来事などの記憶をすべて覚えているなどはあり得ず、むしろ忘れていくことの多さに嘆きます。
 それでも、あの時に戻り、その時間の状況にタイムスリップすることはできます。忘れえない感情が短い時の流れの一コマを覚えてくれています。

 2011年(平成23年)3月11日金曜日、14時46分は四日市市のお寺での永代経のお座。
 お勤めの後、法話が始まりましたが、話しながら身体が揺れているような、めまいでもしているのかと感じました。風もないのに電気もゆらゆらと、「これは地震だ」内陣を振り返ると輪灯も左右に揺れ動いている、「燈火を消さないと」、話を中断して内陣に向かい、ご院さんと灯明を消し再開しました。
 休憩の折にニュースを聞くと東北地方が大変なことになっています。

 お座が終わりご院さんと津波の映像に心も体も凍りつきました。やがて福島の原子力発電所の事故が起こったのでした。
 それからのニュースの驚愕の日々。あの日から十年が経ちました。
 今も時間が止まったままの方もいらっしゃるでしょう、また新たに時を刻んでこられた方もおられるでしょう。
 あの時に戻りながらも、また現実の今の私の時間を刻み始めます。

 仏教では過去・現在・未来の三時・三世が説かれてあります。
 それらは別々にあるのでなく一刻、一刻移り変わると同時に過去になり、未来となりゆくものです。

 阿弥陀さまは変わることなく、移りゆくそのままの私を受けとめ、いつも慈悲の心でつつんでいてくださいます。